公益財団法人五島記念文化財団

優れた人材の発掘と育成を通じ豊かな社会の実現のお役に立ちたい

海外研修成果発表のご紹介

市川裕司 美術新人賞研修帰国記念 

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市川裕司 美術新人賞研修帰国記念 の模様 市川裕司展-世界樹-

市川裕司の作品は2つの要素によって大きく特徴づけられている。つまり、素材の一部が透明であること、そして作品が自立することである。いずれも発端にあるのは絵画がおかれる空間に対する問題意識であり、それによって市川の作品は、光を積極的に作品に取り入れながら、空間全体を征服するかのような力強さを備えたものとして作り上げられる。また、市川が長く制作上のテーマとしている英語の「genetic」は、「起源上の」や「遺伝子の」を意味する副詞である。絵画によって生命の発生や起源に至ろうとする試みは、壁面以外の空間にも作品をおくことでその探求における自自由度を手に入れていると言えるだろう。

約1年間のドイツ滞在を経て2会場で開催される個展「世界樹」は、テーマは引き継ぎながら、しかし作品が自立するものではないという点で市川の新たな展開を見せるものになる。ドイツの生活環境の中に組み込まれていたというバーチカルブラインドが、今回の作品形態のソースである。12センチメートル幅に統一された支持体(ポリカーボネート)にはおびただしい数の金属箔が押され、それらは一部、ある果物の形をあらわすようにして切り取られている。市川が作品のモチーフとして選んだのは、あるときは「不死」の象徴として、またあるときはアダムとイブが食して楽園から追放された「知恵の実」として、西欧文明の中で特別な意味が複数こめられているリンゴであり、その総体によって出現するのが、素材ゆえに光を通過させながら同時に反射させる巨大な樹木=「世界樹」にほかならない。見てとれるのは、日本画を専門領域とする市川による、日本絵画の素材として古くから使用されている箔の現代的再解釈である。

さて、「genetic」の名詞は「genesis」だが、名詞としては「起源」というよりもこの意味の方が通っているだろうか。すなわち、「創世記」。はじめて長期国外滞在を経験した市川裕司の、本展は新しいはじまりを示す。

小金沢智(世田谷美術館非常勤学芸員)

市川裕司 プロフィール

日時平成26年3月24日(月) ~ 4月5日(土)
11:30 ~ 19:00
日曜休廊、最終日17:00
入場無料
場所コバヤシ画廊 (東京・銀座)
オープニングパーティ3/24(月) 17:30 ~
日時平成26年3月29日(土)~4月6日(日)
11:00 ~ 20:00
会期中無休、入場無料
ナビゲーター野地耕一郎(泉屋博古館分館学芸課長)
ギャラリートーク3/30(日) 15:00~
4/4(金) 18:00~

 

平成25年度 海外研修成果発表のご紹介

市川裕司(美術) 日本画
日時(1) 平成26年3月24日(月) ~ 4月5日(土)
(2) 平成26年3月29日(土)~4月6日(日)
場所(1) コバヤシ画廊 (東京・銀座)
(2) スパイラルガーデン(東京・南青山)
澤拓(美術) 現代美術
日時平成26年1月18日(土) ~ 3月30日(日)
場所東京オペラシティ アートギャラリー (東京・西新宿)
石田尚志(美術) 現代美術(映像)
日時平成25年10月26日(土) ~ 11月22日(金)12時~19時
場所タカ・イシイギャラリー (東京・清澄)
岡田尚之(オペラ) テノール
日時平成25年7月5日(金)
場所浜離宮朝日ホール(東京)
宮永愛子(美術) 現代美術(彫刻)
日時平成25年6月12日(水) ~ 8月3日(土)11時~19時
場所MIZUMA ART GALLERY(東京)
笛田博昭(オペラ) テノール
日時(1) 平成25年5月31日(金)
(2) 平成25年6月14日(金)
(3) 平成25年6月23日(日)
場所(1) 宗次ホール(愛知)
(2) 浜離宮朝日ホール(東京)
(3) 南魚沼市民会館 大ホール(新潟)

 

五島記念文化財団では、「優れた人材の発掘と育成を通じて真に豊かな社会の実現にお役に立ちたい」という五島会長の遺志を継承し、芸術文化の分野の発展、向上に資するため、有能な新人及び地域において創造的で優れた芸術(主にオペラ並びに美術)活動を行っている方々の顕彰助成を行っております。